旭屋ガラス店は、昭和型板ガラスの模様を生かしたまま器や照明へ加工する方法について特許を取得し、「昭和ガラス」の名称を商標登録しています。
「ガラス加工方法」特許 第7780806号について
2004年、阪神・淡路大震災を乗り越え、父から受け継いだ数多くの昭和型板ガラスを、廃棄することなく新たな形で後世に残したいという思いから、お皿やランプシェードなどへのリメイクを着想し、その製作方法の検討を始めました。
私が昭和型板ガラスに着目し始めた2004年頃は、現在のように「昭和ガラス」に価値や魅力を見出し、積極的に収集・活用しようとする人は、私の知る限り決して多くなかったように思います。むしろ、需要がなくなり廃盤となった古い建築用ガラスとして、いずれ廃棄されてしまう可能性のある素材という認識が一般的でした。
ガラス工芸の世界では、ガラス板を加熱して器などの立体的な形に成形する技法自体は、決して珍しいものではありません。しかし、国産のさまざまな模様を持つ昭和型板ガラスを素材として用い、その特徴的な模様をできる限り損なうことなく、加熱・湾曲させて成形するという方法については、これまで十分に体系化されていなかったと考えています。
特に、型板ガラスは加熱することによって表面の模様が崩れたり、溶けたりするという認識があり、「型板ガラス本来の模様を残したまま、器などの新しい形に変える」という発想そのものが、ほとんどありませんでした。
また、需要の減少によって廃盤となった昭和の型板ガラスを、ガラス店や建具店などが在庫として保有しているケースも次第に少なくなっていました。さらに、建築用ガラスを扱う知識と技術に加え、ガラス工芸の技術を持ち、電気炉などを使用して加熱・成形まで行える環境は極めて限られていました。
こうした、「昭和型板ガラスの存在」「建築用ガラスを扱う技術」「ガラス工芸の技術」「電気炉による加熱・成形」という複数の条件が重なる中で、試行錯誤を重ね、型板ガラスが本来持つ美しい模様を生かしながら、新たな形へと加工する方法を開拓しました。
その結果、廃棄されつつあった昭和型板ガラスを、単なる古い建築材料として終わらせるのではなく、お皿やランプシェードなどの新たな生活用品へと生まれ変わらせる、独自のアップサイクルの手法を確立し、「ガラス加工方法」について特許権を取得するに至りました。
| 特許番号 | 特許第7780806号 |
|---|---|
| 登録日 | 令和7年(2025年)11月27日 |
この技術は、昭和の建築文化を象徴する型板ガラスの模様を残しながら、新しい価値と役割を与え、再び現代の暮らしの中へ取り入れるための加工方法です。
「昭和ガラス」商標登録 第7053149号について
「昭和ガラス」とは、日本の型板ガラスについて検討を始めた2004年頃から、私自身が命名し使用してきた通称名です。
主に、昭和の時代に日本国内のガラスメーカーである「旭硝子株式会社」「セントラル硝子株式会社」「日本板硝子株式会社」などによって生産された、建築用の型板ガラスを指して「昭和の型板ガラス」と呼び始め、その略称として「昭和ガラス」という名称を用いるようになりました。
ここでいう「昭和ガラス」は、単に「昭和時代に製造されたガラス全般」を意味するものではありません。
昭和時代に生産されたガラスには、透明ガラスやすりガラスなど、さまざまな種類がありますが、「昭和ガラス」とは、その中でも特に、当時日本国内で建築用として生産されたさまざまな模様を持つ型板ガラスを対象としています。
2004年頃から、これらの型板ガラスを収集・検討し、その模様や特徴を生かした新たな加工・製品化に取り組む中で、「昭和ガラス」という名称を継続して使用してきました。
そして令和8年(2026年)6月9日、「昭和ガラス」は商標として登録されました。
| 商標登録番号 | 第7053149号 |
|---|---|
| 登録日 | 令和8年(2026年)6月9日 |
「昭和ガラス」という名称には、単なる年代を示す意味だけではなく、昭和の日本の建築文化の中で生まれ、現在では廃盤となった貴重な型板ガラスを、次の時代へ受け継いでいくという意味を込めています。
2004年から、続けてきたこと
2020年10月、SNSへの投稿をきっかけに大きな反響が生まれ、昭和型板ガラスが広く注目されるようになりました。それをきっかけとして、全国各地で日本の型板ガラスそのものに関心を持つ方が増え、これまであまり知られていなかった型板ガラスの模様や魅力が、より多くの人に知られるようになっていきました。
また、それまで自分自身が長年試行錯誤してきた、型板ガラスに熱を加えて器などの新しい形へ加工するという手法についても、広く知られる一つのきっかけとなりました。
2004年当時、まだ昭和型板ガラスに注目する人が少なかった時代に、その価値に着目して検討を始めた私にとって、2020年のSNSでの反響と、その後の全国的な広がりは、当初は想像もしていなかった大きな出来事でした。
自分が長年大切にしてきたガラスの魅力が、多くの方々に共感され、全国へ広がっていったことは、これまでの取り組みを振り返るうえで、大変感慨深いことです。そして、結果として日本の型板ガラスへの関心を高め、その存在や魅力を社会に広く知っていただく一つのきっかけをつくることができたことは、私自身にとっても大きな意味があり、長年この仕事に取り組んできたことへの誇りでもあります。
その後、昭和型板ガラスを活用して器や照明などの商品を製作する、同様の取り組みを行う方々も数多く現れるようになりました。こうした新たな取り組みが増えたことは、結果として昭和型板ガラスの存在や魅力がさらに広く認識されることにつながったと考えています。
一方で、私自身は、まだ昭和型板ガラスに注目する人が少なかった2004年頃から、その価値に着目し、廃棄されつつあった一枚一枚のガラスを収集、その模様を生かしたまま新たな形へ加工する方法について、長年にわたり検討・試行錯誤を重ねてきました。
そして、その加工方法について特許権を取得するとともに、これらのガラスを「昭和ガラス」と名付け、その名称を用いて素材としての価値や魅力を発信してきました。
この取り組みは、単に古いガラスを再利用するだけではありません。昭和の日本の建築文化を象徴する型板ガラスを一つの文化的な素材として捉え、その模様や質感を生かしながら新たな価値と役割を与え、現代の暮らしの中へ蘇らせ、さらに未来へ受け継いでいくための技術とものづくりです。
旭屋ガラス店 三代目 古舘嘉一
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